EGOISTIC憎愛デジャ・ビュ
屋敷の最奥にある小さな倉庫。
それが魔冬家の仕置き部屋だ。
氷河がそこに閉じ込められて丁度一週間経ったある日、雪風は仕置き部屋の前をウロウロする子供を目撃した。
「月那」
ギクリとしたのはウロウロしていた子供――月那だ。
「雪風さま…!」
仕置き部屋には近づくなと言われていたため、慌てて言い訳を考える月那。
しかし雪風は咎めることなくクスリと笑った。
「氷河に会いたいのか?」
「はい…。氷河さまはいつ出られるのですか?」
「まだみたいだな。知っているのは永久の奴だけだ」
「永久さまにお願いすれば出してもらえるんでしょうか…」
「訴えるだけ無駄だろう。あれもかなり頑固だからな」
あからさまに落ち込む月那を見て雪風は「ふむ」と考えた。
「少しの間ならば、会わせてやろうか」
「え!?本当ですか!?」
「ああ。他の連中には秘密だぞ?」
悪戯っ子のように口角をつり上げると雪風は当主の部屋に入って仕置き部屋のカギを持ち出した。
「少しだぞ。いいな」
「はい!」
仕置き部屋のカギが外される。
月那はそっと中に入っていった。