EGOISTIC憎愛デジャ・ビュ

一週間、食を断っていた氷河は月那から視線をそらした。

ジッと見つめていたら理性をなくして彼女の首筋に食いついてしまいそうだ。

「さっさと出ていけ」

冷たく言い放つ。

それなのに、あろうことか月那は腕まくりをし、彼の眼前に自分の白い腕を差し出した。

「氷河さま…どうぞ」

「は…?」

「お腹が空いているのでしょう…?私の血で良ければ…」

飲んでくれ、と自らを差し出す彼女に氷河は驚愕した。

「ハッ…お前…自分が何を言っているか…ちゃんと理解しているのか?」

月那の肩を掴み、突き放す。

「お前を食糧として見ろ…だと?できるかそんなことっ!」

「でも!このままじゃ氷河さまが飢え死にしちゃいます!」

「くだらない心配をするな。……この程度じゃ、死なない」

「でも…」

なおも引き下がらない月那に氷河はキレた。

「いい加減、分かれ!」

声を荒げながら月那の腕を引き寄せる。

抱き寄せた瞬間、氷河は月那の唇を強引に奪った。


(っ!?氷河さま!?)


額ではない、唇への初めてのキスに月那の頬が熱くなる。

「ん…月那……」

キスが終わったと思ったら、氷河は月那の肌に牙を這わせ始めた。

欲を秘めた熱い瞳で月那を見つめながら首や腕、指を甘噛みしていく。

決して牙を埋めることはない、愛情表現。


「初めてだ…。お前のような馬鹿は…。愚かすぎて、愛おしい」

「氷河さま…」

「…もう行け」

最後に首筋にきつく口づけてから月那を解放する。

背中を押してもまだ動かない月那だったが、廊下にいる雪風に呼ばれてようやく部屋から出ていった。



「やっと行ったか…」

座った状態で壁に寄りかかり、脱力。

「あー……腹減った…」

強がりは消え去り、本音が顔を出す。

氷河は目を閉じた。

空腹を紛らわすように。

月那の顔を思い浮かべて。








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