EGOISTIC憎愛デジャ・ビュ
サラッと言ってのける主人に赤面する月那と駿。
千夜はやれやれと呆れた。
「氷河さまがよろしくても俺らが困ります!使用人の風邪が移ったなんて永久さまの耳に入ったらどうなることか…!」
「父上はお前達に甘い。仕置きされるのは俺の方だ」
「氷河さまがお仕置きを受けたら月那が泣いてしまいます」
言いながら駿は氷河を布団から引きずり出した。
「ですから月那の面倒は俺らに任せて下さい」
月那が泣くと聞かされてしぶしぶ起き上がる。
氷河は心配げな瞳をしながら名残惜しそうに部屋から出ていった。
千夜も後に続き、部屋には横になっている月那と駿の二人きり。
「月那、大丈夫か?」
月那のおでこを触りながら駿が声をかける。
「平気…ケホッ」
「りんご剥いてきたけど、食うか?」
「食べる!」
起き上がって皿とフォークを受け取ると、月那は小さくカットされたりんごを食べ始めた。
モグモグと、なんとも美味しそうに食べていく。
「…ん?駿くん、どうかした?」
「あ、いや!何でもない」
月那の可愛い食べっぷりをボーッと眺めていた駿は慌てて視線をそらした。
「……早くよくなれよ」
照れたような表情で駿は優しく月那の頭を撫でたのだった。