EGOISTIC憎愛デジャ・ビュ
「母上は父上に賛成なのですか?」
「うん、まあ……悪くない組み合わせじゃないか?」
「母上までっ……。月那達はもうこのことを知っているのですか?」
「まだだ。しかし今日これから伝えようと思っている」
ビックリ発言をサラリと述べた父親に氷河は顔を強張らせた。
「なんだ?氷河は反対なのか?ははーん。さては月那ちゃん狙ってるんだな?」
「ピンポーン!!母さん大正解!」
母親と千夜がニヤニヤした目で氷河を見る。
氷河はムスッとしながら頬を赤らめた。
「共存主義ならば人間である月那を俺の嫁にするべきでしょう」
「そりゃそうだ。氷河が月那ちゃんを娶りたいんなら、あたしはべつに反対しないよ」
からかうのをやめて真顔になる。
氷河の母親は長男の額にビシッと指を突き付けた。
「た・だ・し。ちゃんとプロポーズしなさいよ?男だろ?」
「は、はい…」
「おお。母さんカッケー」
「ああっ思い出すなぁ~。旦那様があたしに一世一代の大告白してくれた若かりし頃を…!」
「やっ、やめなさい!息子達の前で!」
「照れちゃって可愛いなぁ~。あたしの旦那様は」
こんな調子で毎日仲の良い両親を慣れた目で眺めながら、氷河は軽い溜息を吐き出した。
今日、父親が月那に婚約話を伝える前に言わなければ。
(お前を、愛していると…)