EGOISTIC憎愛デジャ・ビュ
入ってきた氷河は弟と月那の姿を確認すると、二人の間にある雑誌に視線を移した。
「その雑誌、無くしたと思ったら千夜が盗んでいたのか」
腕を組み、ギロリと睨む。
千夜はビクビクしながら月那を抱き上げた。
「オ、オレじゃねぇって!月那です!犯人は月那!」
「月那が?」
千夜に持ち上げられて逃げ場のなくなった月那は、氷河の目の前でしゅんとうなだれた。
「ごめんなさい…」
「なぜ断りもなく持ち出した?」
「………」
「お前の口は飾りか?喋れるだろう?答えろ」
「……うぅ…っ」
「ああ、泣くなって!怒ってないから、な?つーかアニキ、きつく言い過ぎ!上から目線で怖ぇーよ!」
泣き出してしまった月那を庇うように抱きしめる千夜。
「ふん」
それを不機嫌そうに見つめると、氷河は支配者の眼差しで小さな月那を見下ろした。
「主人の私物を勝手に持ち出す泥棒ウサギにはお仕置きが必要だな。来い、月那」
こうして月那は大好きな氷河の腕に抱きかかえられたのだった。