EGOISTIC憎愛デジャ・ビュ
5
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氷河と月那が互いの気持ちを確かめ合った後、考え直した父親は駿と桃を婚約させた。
氷河には月那を。
そう正式に決まってから少し経ったある日。
「氷河、千夜。私と美歩子は三日ばかり外出する。家を頼むぞ」
「へ?父さん、どこ行くの?」
「人間との会談があるから地上へ行く」
「なぜ母上まで?」
「美歩子は人間だからな。共存主義のことをより理解してもらうために連れて行くことにした」
氷河達の父、魔冬永久は日本の地下世界におけるリーダー的存在であり、人間に歩み寄ろうとする共存主義者である。
闇人の存在を知る裏の人間達を相手に話し合いの場を設けて仲良くしようと努めるが、なかなか理解されずに苦労しているようだ。
危険を覚悟でちょくちょく地上に出掛けていた。
「今回も無事に戻ってきて下さい、父上」
「ああ。できれば朗報と共に帰りたいものだ」
そう言って氷河の頭を撫でた父親。
「いい子で待ってなさいよ?」
見送る際に見た母親の笑顔が、氷河と千夜にとって忘れられない思い出となる。