EGOISTIC憎愛デジャ・ビュ


†††


 月那には仲の良い友達がいた。

「ももちゃん、いちかちゃん。おはよう」

「おはよ!」

明るい声で挨拶を返した一佳(いちか)。

「うぅ…まだねむいよ~」

眠い目を擦るおっとりさんの桃(もも)。

月那と歳の近い二人は魔冬家に一緒に住んでいる人間の子供だ。

「お前ら早く顔洗って来いよ。ごはん冷めちゃうぞ」

少し年上の少年、駿(しゅん)が三人娘に声をかけた。

駿も魔冬家に買われた人間で、掃除洗濯などの雑用をこなす使用人としてすでに働きはじめていた。


「くんくん。パンのいいにおいがする!」

匂いに敏感な一佳が人間用のキッチンへ駆けて行く。

そこでは母親代わりの早苗(さなえ)がテーブルに三人ぶんのトーストを並べて待っていた。

「おはよう一佳ちゃん。他の二人は?」

「もうくるよ!」

元気よく言った丁度その時、月那と桃がやって来た。

三人そろって朝食タイム。

もう食べ終わったのか、駿と早苗は傍で三人の食事風景を見守っていた。

と、その時。


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