EGOISTIC憎愛デジャ・ビュ

「ふえ?はうっ…!」

おかしな声を上げてしまった月那。

それというのも、いきなり氷河に抱き上げられたからだ。

「お前の様子を見に来たんだ。分かれ…」

耳元で吐息まじりに囁かれた瞬間、月那の小さな胸は異常なほど高鳴った。

ドキドキで心臓が破裂する前に氷河を押しのけ、ダッシュで廊下へ飛び出す。

向かうは、彼のもと。


「せんやさまぁああっ!!!!!!!」


「へ?月那?どったの?ってグボアッ!!!」


月那が千夜の腹にタックル、否、抱き着いた。

「せんやさま!ひょうがさまが!ひょうがさまがね!」

「ゲホッ…あーあーあー。またアニキ関係かよ。マジ勘弁してくれよ。いや、月那がうっとうしいってわけじゃないから。むしろ月那が関係するとうっとうしいのはアニキの方だから。泣きそうな目でオレ見るのヤメテ。ホント頼むから。オレがアニキに殺され…」

「千夜」

「ヒイイイッアニキィイ!!!!後ろに立つなよ怖ぇえからぁ!!」

ヌッと現れた氷河にビクリと肩を震わせる千夜。

その勢いで月那を抱きしめた。


< 9 / 51 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop