守るから。-包み込んで-
「それより、稀子テニス次の次じゃない?招集かかる前に行っときなよ。」
「本当だ!言ってくるね!」
「ファイト!見てるから!」
綾音から背中を押され、テニスコートに行く。
少し練習をさせてくれたから、気楽に打つ。
「練習やめ!テニスの選手はこっちに来てね〜」
ドキン、ドキン
緊張して胸がうるさい。
前の子達が試合を終わらせて、私の番が来た。
パシュッ パシュッ
少し手が震えるけど、それを誤魔化すように思い切り打つ。
そして、来たボールを強く、相手がいない場所に……
やった!1点!
また同じように打って2点。
3、4、5…
次々と点を稼ぎ、私が勝った。
テニスって、楽しい。
打つ時、すごく気持ちいい。
「おつかれ、稀子!すごかったよ!本当にプロみたい!」
「あ、綾音!お世辞ありがとう。」
プロみたい、はプロに失礼だし。