守るから。-包み込んで-
「お世辞じゃないし!まじ見惚れる!」
「綾音ったら…」
「美人だし、スタイル抜群だからやっぱ、テニス似合うな〜 ファンも……」
「すいませんっ、稀子ちゃんですか?? ただいま彼氏はいるんですか?」
ファンも、と言いかけた綾音が、
「いた…」
と続けた。
「あの、誰ですか…?」
恐る恐る聞くと、
「2年なんだけど、友達が彼氏いるか聞けってうるさくてさぁ。」
そう呆れて言った。
人懐っこくて、可愛い笑顔は子犬のようだ。
とても先輩とは思えない。
「彼氏は…いません。」
「そっかぁ〜 好きな人は?」
そう聞かれて、何故か、香月君が頭によぎった。
どうして…?好きなはずないじゃん。
だってヤンキーだよ?
「いません…」
「よかった!」
パァっと明るい笑顔を見せると、
応援してるから!と一言残し、どこかへ行ってしまった。