守るから。-包み込んで-
走ってテニスコートに行く。
綾音は応援席へ、私は練習場所へ。
ふぅ…と息をはいて、練習を始める。
パシュッ
打つ度、緊張がほぐれていく。
手と足の震えも、今回は大丈夫そう。
「練習やめー」
これは、体育祭だから、気楽に、気楽に…
少しだけ速い心臓を抑えていたら、私の番が来た。
これで勝って、その次に勝って、そのまた次に勝ったら…優勝だ。
ボールを上に上げて、思いっきり打つ。
香月君の事も、晴妃の事も、瑠奈ちゃんの事も…
全て忘れて、無心になって。
打ち消すように打っていると、どんどん点を取れた。
夢中になってボールを追いかけ、点を取っていたら、もう終わり。