オトシモノ~君が零した未来~
「千歳、こんな所にいたのか?」
ゆっくりと、振り返る。
可笑しいとは、どこか頭の中で分かっていた。
そんな事があるわけないのだと、あいつはもうこの世に居ない事など分かっていた筈なのに、何故か千歳に話し掛けていた。
――――空が、青い。
柔らかな梅の香り、煌びやかな鳥の鳴き声、子供の笑い声。
後ろから、あいつの声がする。
あいつらの・・・・・・あの、懐かしい声が、した。
「やっと、やっと――――」
俺は、帰ってこれたのか。