オトシモノ~君が零した未来~
「・・・・・・ひ・・・・・・ょう」
辺りを見渡そうにも、周りは真っ暗で何も見えない。
さっきまで、あの懐かしい空間に居たはずなのに、何も聴こえない。
ぬかるみにはまったように身体は重くて、それでいて何かに揺らされる気分の悪さだけは感じていた。
「土方副長!!」
煩い。
あいつは、俺の事を“副長”なんて付けて呼ばなかった。
どこだ、ここは。
どこなんだ、千歳――――・・・・・・
あの音が、鈴の音が聞こえない。
千歳、と呼ぼうと口を開けると、ヒヤリと冷たい何かが顔に当たった。