オトシモノ~君が零した未来~
冷え切った指を組んで、ぼんやりと宙を見つめる。
・・・・・・どうしたものか。
東北の冬枯れした木に、薄暗い空が寂しさを助長するようだった。
あいつが隣に居たら、こんな時でも、もっと俺らしく居られたのだろうか。
「いや、このご時勢だもんな」
平助も、原田も永倉も、源さんも、総司も、山崎も、勝っちゃんも。
千歳も、居なくて。
溜息をつきながらふるふると首を振り、こめかみを押さえる。
こんな俺だから、誰も守れなかったんだよな。
そんな事を考えていると、足元の感覚が自分の感覚を離れていくようで、自分がここにいる実感が薄れていくようだった。