オトシモノ~君が零した未来~
「土方副長、大丈夫ですか?」
ぼんやりと宙を眺めていると、自分の背後から声が掛かる。
ジャリ、という音と共に現れたのは、自分を慕うように付いて来てくれた、小姓の市村だった。
「あぁ・・・・・・鉄か。どうした?」
ゆっくりと振り返りながら、俺は心配そうに見上げる鉄を見下ろす。
・・・・・・痩せたな、鉄。
少しやつれた頬に、疲れの色が見えるが、その目は爛々と輝いている。
「いや、あの、お疲れのようでしたので。
顔色が悪いですよ?少し休まれた方が」
気遣わしげな表情の鉄に、大丈夫だ、と返しながら、空を見上げる。