オトシモノ~君が零した未来~
「すまない、鉄。少し一人にしてくれないか」
「・・・・・・分かりました」
小さな声で言った俺に、大人しく引き下がる鉄。
「すまねぇな、鉄」
「いえ。ただ、ご無理だけはなさらないようにお願いします」
微かな布ずれの音と共に、砂を踏む足音が遠ざかっていく。
静かに視線を落とし、後ろを振り返ると、そこには既に鉄の姿は無かった。
人気(ひとけ)も無く、風が微かに吹き抜けるだけの空間。
枯れた茶色い、煤(すす)けた葉だけが、カサカサと地面を転がって行く。
そんな淋しげな空間に、妙な居心地の良さを感じた。