オトシモノ~君が零した未来~
『チリン・・・・・・チリン』
風音しか受け付けなかった俺の耳に、鈴の音が聞こえてくる。
それにどことなく懐かしさを感じながら、そっと目を閉じた。
確か――――あの時、京の街中で。
冬の近付く秋の昼間に、聞いた事のあったような・・・・・そんな感じの音。
「・・・・・・千歳?」
振り返るのが、怖いような気もした。
背後に近付いてくる懐かしい気配に、振り返ろうともしたが、ただそれを躊躇ってしまう。
「千歳・・・・・・なのか?」
返事は、無い。
ただ、静かに気配が近付いてくるのは分かる。