オレンジの世界

「あぁ…ケーキの割引券、クラスの女の子に貰ったから結菜ちゃんに上げようと思って。」

「それだけであんなに走ってきたの?」

「………あんまり、野崎先生とは二人にならない方がいい。」

「え?」

「二人になりそうなときは、絶対に俺を呼んで。約束して。」

真剣な瞳の瀬良くんに吸い込まれてしまいそうになる。
その約束の意図は全くわからないけど、それで瀬良くんが安心できるのなら。

「うん、わかった。約束する。」

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