オレンジの世界
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「あれ〜?夕陽君、いつもしてるネックレスはぁ?」
バッチリと化粧をした女子が
瀬良に甘えた声で尋ねる。
「人に預けてきたんだ。」
「珍しいねえ!だれに預けてきたの?」
「ん〜?なんかへんなひと。」
「えぇ?それ大丈夫?」
「うーん、どうだろ笑」
どうして屋上の女の子に預けたのか、瀬良にもよくわからなかった。
誰にも触らせたことがない、美緒からもらった屋上の鍵。
「…なんかちょっと興味あるんだよね。」
瀬良の小さな呟きは
賑やかな生徒の声にかき消され誰の耳にも届くことはなかった。