オレンジの世界
今までの私にとって
沈黙はどんな場合でも"苦"だった。
何か話さなきゃって焦って
盛り上げるために誰かの悪口を言ってみたり
焦って一人で疲れていた。
だけど瀬良君との沈黙は心地がよかった。
黙ることも喋ることも強要されず
すごく安心した。
こんな相手は初めてだ。
瀬良君の落ち着いた雰囲気が
そう思わせるのかな。
そんなことをふわふわと考えていると
突然ドアが開いた。
「そろそろ図書室鍵しめるよ〜。」
数学を教えている
野崎 春人(のざき はると) 先生だ。