吸血鬼くんの話、
「ひかり。お前先に風呂入っとけ」
寝てしまった満月を抱き上げ、自分の部屋に向かう。
客人なのか微妙だが、ベッドに寝かせるべきだろう。
「りょーかい!あ、変な想像しないでよー?」
ひかりはクスクスと笑いながら着替えを取りに部屋に行く。
「するかぁ!……期待した目でこっち見んな!」
満月のせいでドアを開けるのに苦戦しているとひかりがキラキラした目でこちらを見ていた。
「またまたー。隠さなくていーんだよー?いつもお風呂上がりの火照った柔肌にドキドキしてるくせにー」
着替えを取ってきたらしいひかりがドアを開けてくれた。
ふわりと香る女の子のいい匂いにドキドキする。
「そ…そんなんじゃねーから!勘違いしてんじゃねーぞ!!ひかり!……笑うな!!」
いつのまにか赤くなっていたらしい俺を見て爆笑しながら風呂場に入っていった。
満月をベッドにそっと寝かせ、椅子に座る。

いつもひかりのペースに乗せられてしまう。
明るい彼女の雰囲気が好きだからなのかな。
ひかりはあんな感じだけど病弱なのは変わりない。
ひかりが側にいないときはいつ倒れないか、気分が悪くないかとか、考えてばかり。
嫌がってなければいいのだけれど。
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