吸血鬼くんの話、
次の日。

結局俺は満月にベッドを譲り、ソファーで寝た。
買うときに言い争いになったが、買っておいてよかった。
「あーきーらー!早くおきなよー!」
ひかりの少し怒った声で目覚める。
満月はここにはいなかった。
「おはよう、ひかり」
ぼーとする頭で挨拶をしながら体を起こす。
腰がポキポキと鳴ったがそれ以外はどこも悪くない。
「はい、おはよう。満月ちゃんを起こしてきて!ご飯作っとくから!」
パタパタとエプロンとスカートをはためかせるひかり。
見えそうなんだから、もっと長いものを履けばいいのにと思いながら自分の部屋に入る。
満月はまだ寝ていた。
「満月ー。朝だぞー」
やる気がなく、着替えながら声をかける。
「ん…分かった…」
満月は眠そうにもぞもぞと動き、体を起こした。
「今日は土曜だから午前中だけ学校行くからな。一人で留守番できるか?」
今日は部活がある。
心霊現象研究部という活動がよく分からない部活だが、ずっと前からある謎の部活だ。
未だになぜ存在しているのか分からない。
部員は俺、ひかり、そしてもう一人、鎖辺 明日香という女の子が所属している。
「私をなめているのか?小僧。シャルドネ様の留守はいつも私が守っていたぞ?」
キッと睨む満月。

服が黒猫の着ぐるみパジャマでなかったら、決まってたのにな。
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