吸血鬼くんの話、
狼女さんと魔女
えっと…。初めて、私が話すのかな。
私は及川 ひかり。
知ってると思うけど、狼女です。
運動神経が高く、第六感…というか、人の感情を読み取ることができます。
あとは、普通の人間よりも、短命であることが、特徴かな。

それと、一緒に住んでる明と、明が拾ってきた満月と呼ばれる少年は、私の大事な人たちです。

狼である私を怖がらず、傍にいてくれる二人は私が病に倒れても、看病してくれました。
二人がいなければ、私はどこかでのたれ死んでいるでしょう。

ひとまず、満月ちゃんが作ってくれた卵雑炊を食べ、もう一度眠ろうとしました。
ですが、明は私の額に手を当て
「熱は…ないみたいだな。よかった。俺、バイトしに行くけど…ひかり、満月を頼んでいいか?」
と、聞いてきました。
明は吸血鬼の能力のひとつである、他人の病気や怪我を治すことができる力を、仕事にいかしていました。

不治の病と呼ばれる病気を治すお仕事。

残念なことに治せるのは純血種以外だそうです。
私は狼人間の一族で純血種であるので、明の能力に頼ることができません。
「うん。行ってらっしゃい、明」
笑顔で送り出します。
寂しくはありますが、今回は満月ちゃんがいるので平気だと、思っていました。
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