俺、共犯者と秘密共有中。
 その後美咲ちゃんは、無事大学に合格した。


「純平くん、来年待ってるから、絶対来てね!」


 俺はもう、その笑顔だけで、いくらでも頑張れるような気がした。


 それからはもう絶好調で、バイトは親に辞めたら、と言われたが、そこで見られる美咲ちゃんの笑顔が俺の元気の源だったから、休みは多くなってしまったけれど、辞めはしなかった。



 そしてある日、聖也とオープンキャンパスに向かった。


 美咲ちゃんはその日、校門前で案内係として立っていた。


「あ、あの人可愛い。」


 面食いな聖也が、色んな人を指差しながら、隣で言う。


 正直美咲ちゃんには会わせたくないと思ってしまった。


 美咲ちゃんは、可愛い。


 そこらのアイドルなんかよりもずーっと可愛い。


「あっ、純平くん!」


 なんて、考えていたところで、美咲ちゃんがあの可愛い笑顔を見せながら、俺に手を振ってきた。


 隣で聖也が、口を開けてポカンとしている。


 美咲ちゃんの方へ行くと、校内の案内図を渡してくれた。


「純平くん、最近全然バイトでも会ってないから、なんか久しぶりだね。」

「あーうん、今度模試があって、ちょっとでも前回より成績上げたくて。」

「そっかぁ、頑張ってね。」


 死ぬほど頑張ります。

 ……と、心の中で返事をしたところで、美咲ちゃんが俺の隣に立っていた聖也に目を向けた。


「純平くんのお友達?」

「あっ、ハイ、聖也です。」

「聖也くん!美咲です、よろしくねー。」


 誰にでもフレンドリーで、自然と笑顔を向けられる美咲ちゃんは、聖也にも、優しく笑いかけていた。


  俺が少し嫉妬をしていたからなのか、心做しか、いつもおちゃらけている聖也が、少し照れているように見えた。
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