俺、共犯者と秘密共有中。
「じゃあゆっくり見学して行ってね!」


 そうして、美咲ちゃんと別れた後、聖也は少し頬を赤く染めて行った。


「美咲さんかあ、可愛いね。」


 俺の中で、ポトン、と透明な水の中に絵の具を落としたように、汚れた、真っ黒な感情が、徐々に広がってゆく。


「そうだな。」


 言いながら、自分の声の低さに驚いた。


 聖也は余韻に浸っているのか、全く気にしていない様子だったため、俺はほっと胸をなでおろした。


 ……気にしなくても、聖也にはこういうこと、しょっちゅうあるし。


 聖也の横顔を眺めながら、俺は自分にそう言い聞かせた。


 美咲ちゃんは、……可愛い。


 俺の中では、世界一、可愛い。


 だからあの笑顔が、俺だけに向けられるものになればいいのに。


 ……早く大学に受かって、美咲ちゃんのそばに、ずっといたい。


 それでいつか、……俺のものにしてしまいたい。
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