俺、共犯者と秘密共有中。
「俺も春から大学生だし、バイト始めよっかな〜。」


 聖也の言葉に、美咲ちゃんはぱあ、と目を輝かせた。


「じゃあうちおいでよ!純平くんも居るし、みんな仲良いし楽しいよ?

 春になると受験だとかでやめてっちゃう人いっぱいいるし、多分そのくらいになると募集かけると思うんだよね〜。」


 そしてやたらと早口で言い、俺に、ね!と同意を求めてくる。


 俺はとりあえず頷いたが、正直まだこの間のことが引っかかっていた。


 聖也は顎に手を当てて、考えるような素振りを見せる。


「そうだな〜、確かに純平の話聞いてると楽しそうだなと思ったし、考えてみます。」

「ほんとに!やったあ〜。」


 美咲ちゃんは、誰にでもこんな感じで、フレンドリーだ。


 美咲ちゃんのそういう部分はとても魅力的だと思うし、初めてで緊張していたバイトの時だって、そこに救われた。


 だけど、その魅力にみんな引き込まれちゃうんじゃないかって、不安になることのほうが多い。


 ……もう大学にも合格することが出来たし、一切合切、全部吐き出して、楽になってしまいたい。


 そうだこの後、美咲ちゃんを家まで送るとかなんとか言って、2人になってから、……もうそこで、伝えてしまおう。


 俺はこの時そう決心した。
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