年暮れの夜に

幸せ






涙が

次から、次から
溢れて止まらない。


あたしも
止め方なんて知らない。



柊生が、

その指先で摘まんだ


……小さな
天使の輪っかのような、


キラキラと輝く

箱と同じ
淡いピンク色の宝石を乗せた指輪を



あたしの左手、

……薬指にそっとはめた。




「…………ぴったり」


「…当たり前。


俺は、
弥生の頭先からつま先まで

指の太さだろうが
爪の形だろうが
ほくろの位置だろうが…


…全部記憶してんだから。」




柊生の得意気な顔に

幸せで
つい、笑みが零れる。



ねぇ、柊生…


あたしはね……?

貴方といて、
幸せすぎて…

…泣けてきちゃうんだよ……





「……じゃあ、弥生

返事、
聞かせてよ?


あ、

もう
さっきみたいなのナシだからな?」





……あたしは
まるで深呼吸をするみたいに

深く息を吸い込んで、


今までで一番

幸せな笑顔で笑ってみせた。





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