夏祭り
◆◇1
ジュース
「あれ、ケータイ変えたんや。」
隣りに座る君の手元に
見慣れない色を見つけて
私は思わず声をかける。
夏の始まりを予感させる、
きつい日差しの中
汗だくになりながら
もう、何時間喋ったかな。
「え?」
どこにでもいるような二人
きっと、
誰から見てもカップルの二人。
「前 青やったし。」
「あぁ、壊れたから。」
「あぁ、そーいえば言うてたなあ。メアド変わってへんからわからんかった。」
見慣れない赤いケータイ。
私は それを ひょいと奪い、
画面を開いてみる。
特に抵抗する様子もない君。
…なんで取り返さないかな。