happy new me !



「これなら彼を見返せられるね!まぁ、見た目だけだけど?」

ニヤッと意地悪に言う。
つくづく痛いところをついてくる人だ。

ふと、時計を見るともう19時だ。
こんなに時間が経っていたなんて。時間を忘れてしまうほど素敵な時間だった。


「もうこんな時間だね!時間かけすぎちゃったな〜。」

「本当にありがとうございます!あの、カット代はおいくらですか?」


私が財布を出そうとしていると、

「いいよ、お代は!で、その代わりさ…」

その代わり??

「せっかく髪を綺麗にしたところ悪いんだけど、掃除手伝って!」

ん?掃除?
小野さんはパンッと手を合わせている。

「ほら、1人じゃ終わりそうになくて!」

ぐるっと店内を見渡す。
……でしょうね。

「元々、1人で終わる予定でした?」

「うっ。それは……初めて1人で迎える年末だから要領がわからなくてですね。」

小野さんはシュンとしてしまった。
くそぅ。かわいいじゃないか。
まぁ、彼氏と過ごすはずだったから、それもなくなりどうせ帰っても1人だ。なるべく1人の時間は短くできた方がいい。

「……いいですよ。それで手を打ちましょう。」

「本当に!助かるよー!!」

パッと顔が明るくなった。

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