孤独女と王子様
私は至って平凡な女。
自分磨きもしていないし、可愛げも全くない。

『自分の価値は自分じゃなくて、周りが決めることだよ』

プレビューの画面を見ながら剛さんははっきり言う。

『由依ちゃんは人と関わることを避けているから、おのずと自分に対する評価も聞こえて来ないし、由依ちゃん自身も気にしないようにしていたんじゃない?』

画面を見て"この由依ちゃん、最高に可愛い"とひとりごとのように言う剛さん。

『でも、今回の異動は会社からはっきり必要な人材であると由依ちゃんが評価された結果だと思うし、何より、僕の評価はオール5だよ』

剛さんは私を見て微笑んだ。

「ありがとう、剛さん」
『それにしても…由依ちゃんのような女性、どうしてみんな声を掛けないんだろ。不思議だな』
「私が暗いから、声を掛けづらいんだよ」

私は暇があればずっと本を読む。
根が暗い女に声を掛ける物好きがいないと言うこと。

剛さんは、お店で出会ったから私の暗さなんて分からないんだ。

『由依ちゃんは暗い子じゃないよ。人と関わりたくないから暗いフリをしているだけでしょ』
< 114 / 439 >

この作品をシェア

pagetop