孤独女と王子様
ネームプレートには"こだま"と書いてあるので、

「店長さん、ですか?」
『はい。店長の児玉と申します。やはり、あなたは…うちの神戸を探してる方、ですね?』
「はい。店長がお察しの通りだと思います」

"ちょっと今、お時間よろしいですか?"と店長に案内されたのは、5階にある打ち合わせスペース…いや、休憩室かな。

仕事関係で来たわけでもないのに、バックヤードに案内されたのは、何か申し訳ない気分だった。

「あの、私に話とは…」
『神戸が、ちょっとやらかしてしまいまして…』

やらかす?
由依ちゃんが何をやったのだろう。

『最近の神戸のことを一番ご存知なのは、貴方だと思ってお話しします』

と、店長は前置きをした。

『今日、外でデモ販やってますけど、実はお昼の1時間だけ、神戸にレジ番をお願いしていたんです。今は、すでにうちの横浜店で土日に行われるイベントの打ち合わせに出てしまっているのですが』

店長は僕に向かって話しながら"どうぞ"とティーサーバーからお茶を淹れたカップを僕に差し出し、既に着席している僕の向かいに座った。
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