孤独女と王子様
『実は、今日神戸にレジ番を頼むようにお願いしてきたのは、今日は来ていない龍成社の別の男性社員の方でして、明らかに神戸とその女性社員を引き合わせようとしていたようなんです』

もし、仲違いしていることをその男性社員が知っているとしたら…そして仲直りをさせようと引き合わせたのであれば…女性社員の反応の様子を聞く限りは、仲直りは失敗したのだろうか。

「あの、その女性社員の名前、ご存知ですか?」
『群馬の店の頃は名前を紹介されなかったので記憶していないのですが、今朝、デモ販の設営前に名刺を貰いまして』

店長はそう言うと、目の前にその名刺を置いた。

「拝見します」

僕は名刺を見た。

【株式会社 龍成社 営業局 販売六部 高松遥香】
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