孤独女と王子様
その桐生さんという方は、高松さんと由依ちゃんとの関係を知っていたわけだ、きっと。

それにしても由依ちゃんは、高松さんに何を言ったのだろう?

自分の会社の創刊誌のデモ販にも影響が出てしまいそうなくらいショックなことを告げたのだろうか。

由依ちゃんと"親友"になって1年半。
孤独だった彼女の環境は変えてあげられたつもりだ。

しかし、それは過去の傷を癒すものでは全くなく、ただ心の闇のパンドラの箱に蓋をして、さらに鍵を掛けていただけだったのかも知れない。

そう自分に言い聞かせつつも、僕のショックは大きかった。

さらにショックだったのは、その後由依ちゃんにメールするも、全く返信がないと言うこと。

由依ちゃん、見てくれたのかな。

僕も土日は婚礼担当3組を受け持ち、引き継ぎの木金を含めてめいいっぱいのスケジュールだったから、あまり心配する余裕もなかったことは、不幸中の幸いだった。
< 122 / 439 >

この作品をシェア

pagetop