孤独女と王子様
由依ちゃんからメールが届いたのは日曜日の夜遅い時間。
―"剛さん、返信遅くなってごめん。横浜で大きなイベントがあってその準備と今日は打ち上げがあって全然メールする時間もなければ、体力も気力もなかったの。ようやく終わったから、今週の水曜日はいつも通りだよ。おやすみなさい"―
メールの本文は、5日近く返信がなかったことを除けば、いつも通りの文面。
しかし届いたのは深夜1時を回っていたので、僕からメールを送るのは翌朝にしようと決めて、眠りについた。
朝になり、出社が今日は11時からだったことから、朝食も終わり、自分の部屋でゆっくりこれから由依ちゃんにメールでも送ろうとしたその時、
"トントン"とドアのノック音がした。
「はい」
『朝から申し訳ございません、斉木です』
斉木(サイキ)は、成瀬川家における秘書。
僕たちきょうだいがずっとお世話になっている方だ。
でも直接僕の部屋を訪ねてくることはめったにない。
「珍しいね、どうぞ」
『失礼します』
斉木が仕立ての良いスーツ姿で入ってくる。
先程朝食の時間に会っているので改めて挨拶することはない。
―"剛さん、返信遅くなってごめん。横浜で大きなイベントがあってその準備と今日は打ち上げがあって全然メールする時間もなければ、体力も気力もなかったの。ようやく終わったから、今週の水曜日はいつも通りだよ。おやすみなさい"―
メールの本文は、5日近く返信がなかったことを除けば、いつも通りの文面。
しかし届いたのは深夜1時を回っていたので、僕からメールを送るのは翌朝にしようと決めて、眠りについた。
朝になり、出社が今日は11時からだったことから、朝食も終わり、自分の部屋でゆっくりこれから由依ちゃんにメールでも送ろうとしたその時、
"トントン"とドアのノック音がした。
「はい」
『朝から申し訳ございません、斉木です』
斉木(サイキ)は、成瀬川家における秘書。
僕たちきょうだいがずっとお世話になっている方だ。
でも直接僕の部屋を訪ねてくることはめったにない。
「珍しいね、どうぞ」
『失礼します』
斉木が仕立ての良いスーツ姿で入ってくる。
先程朝食の時間に会っているので改めて挨拶することはない。