孤独女と王子様
17時丁度に着くと、既にケン兄さんはカウンターにいた。

『剛、お疲れぇ』

ケン兄さんは既に飲んでいる?
まぁ、この人は"ザル"だから、別に構わないんだろうけど。
僕は車なのでアルコールは辞退。

「いつからここにいるの?」
『30分くらい前かなぁ。ここに来たのもマスターに会ったのも久しぶりだから、飲まずにいられないでしょ』
「でもここを指定したのは僕で、用事があるのも僕でしょ?」

僕はそんなケン兄さんの隣に座った。

『あぁ、そうさ。他でもない、神戸さんのことだよ。しかし驚いたなぁ。調べているといろいろゴロゴロ出てくるのさ』

色々ねぇ。

「ねぇ、由依ちゃんは高松さんに何を言ったんだろう。あの創刊誌のデモ販の時」
『お前、そこまで知っていたのか』
「店長から少しだけね」

するとマスターに"剛は何を飲むんだよ"と聞かれたので、コーラにした。
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