孤独女と王子様
偽善者か。
穏やかではない表現だ。

『高松と神戸さんを引き離すのは簡単だ。でもそうしたところで根本的な解決にはならない。高松のショックな気持ちを解決するには、神戸さんの心の闇の謎を解かないことにはどうしようもない。それに、俺達もまだ神戸さんと仕事したいしね』

"どうぞ"と、コーラが僕の前に置かれた。

『ところで、お前と神戸さんはどうやって知り合ったの?』
「最初は、ただの店員と客だよ」

と、これまでの由依ちゃんとのことをケン兄さんにも話した。

『ふぅん。不思議な関係だね』

マスターに白ワインのおかわりを貰ったケン兄さんは言う。
母さんと同じような反応。

「とにかく何があっても由依ちゃんと離れたくなくて」
『それも、心の闇だ』
「え?どういうこと?」

僕が心の闇を抱えているってこと?

『神戸さんは好きな人に裏切られるのを猛烈に恐れているのは、きちんと最初の男性とのことが自分の中で終われていないからなんだ。裏切られっぱなしで、消化できていない』
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