孤独女と王子様
『お前、悪いけど日曜日、休みを取ってもらえないか?』
「日曜日?婚礼が1組入っているよ」
『そこは他のキャプテンと代わってもらえ』
「・・・分かった」

ケン兄さんの指示を素直に聞いたのは、そこで休みを取ることが凄く大事だと思ったから。

これからの由依ちゃんとの関係に、進展があるものだと確信したから。

『土曜日、仕事が終わってからで疲れているとは思うけど、群馬県に向かってもらいたいんだ』
「群馬県?由依ちゃんの出身地?」
『そこで、神戸さんの両親に会ってもらいたい。もちろん、神戸さん本人の仕事も調整してもらっているところだ』

両親?

「だって、由依ちゃんのお父さんは、まだ由依ちゃんが生まれる前に捨てられたって聞いているけど・・・」
『神戸さんはお母さんからそう聞かされているだけで、事実は違うんだよ』

と、ケン兄さんは由依ちゃんのお母さんについての真実を、僕に話してくれた。
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