孤独女と王子様
由依ちゃんのお母さんは、最初は東京にいた。

高校2年生の時に、由依ちゃんのお父さんと出会い、恋に落ちた。

ところが、お母さんのお父さん・・・つまり由依ちゃんにとっては祖父にあたる人が、勤務先でトラブルを起こし、逮捕されてしまう。

由依ちゃんのお父さんは、旧財閥の御曹司。

身分差は明らかだった。

互いの親に内緒で付き合っていた2人は、その逮捕を受けて遅かれ早かれ秘密がバレることを悟り、"既成事実"を作ることを思いついた。

どうしても、2人が愛し合った証を残しておきたかった。

「もしかして、その"証"が、由依ちゃん?」
『そう』
「でも、何だか身勝手なような気がする。それで結局"捨てられた"と説明されているのなら、生まれた由依ちゃんはたまったもんじゃないよ」

僕はちょっと怒りを感じ、目の前のコーラを一気飲みしたら、マスターが次のコーラを出してくれた。
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