孤独女と王子様

『舟さんを今度の土曜日に群馬県の由依ちゃんのお母さんが営んでいる小料理屋に招待した。その時、高松や、他の社員も連れて行く予定だから、とりあえずややこしくなるのでお前はそいつらが店を出てから舟さんやお母さんと対面しろ。どのみちお前は仕事帰りだからそのくらいの時間にはなるだろ』

"あと、次は・・・"と言葉を続けるケン兄さん。
相変わらず話す内容にソツがない。

『３つ目の"恋"の件については、由依ちゃんが裏切られた彼の居場所を突き止めたから、あとはどうするかお前に任せるよ』

そうか。僕がどれだけ本気か、そこで見せなければならないのか。

僕はそう解釈した。

それにしても、由依ちゃんのお父さんが舟さんだったなんて・・・
それが家柄として一気に良くなったとは思えないけど、これが由依ちゃんとの距離を縮めるきっかけになるのなら・・・

僕はその可能性に賭けてみたいと思った。