孤独女と王子様
『遥香ちゃんのことは、これから仲良くしたいと思ってる?』
「うん。友達でいたいと思ってる」
『よく言ったね、由依』

と、剛さんは私の頭を撫でてくれた。

そんな剛さんの優しさが、私の後悔という名の涙を生んだ。
私の顔を見て、微笑んだ剛さん。

『そんな由依には、御褒美をあげる』

さっきの低い声色から一転、普段よりも甘い声に感じた。
そう思った瞬間、
私の唇に、剛さんの唇が触れた。

驚いて、涙が止まった私。
だって、さっき脅しで"キスするぞ"って言われたばっかりなのに・・・

ご褒美が、やっぱりキス?

「剛さん、ズルい」
『何で?』
「何にしても、キスするつもりだったんでしょ?」

私の問いかけには答えを言わず、イタズラっぽく笑うだけの剛さん。

「ちょっと、何か言ってよ!」
『僕はいつだって、由依ちゃんとキスしたかったもん』

そう言うと、剛さんは私に再び触れるだけのキスを落とした。
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