孤独女と王子様
あー嫌だ。
だから旧財閥の家柄は嫌なんだ。

母親としての考え方は間違えていないのだろうけど、結果的に由依ちゃんを苦しめたんだ。

父親が舟さんだと知らなかったとは言え、そんな環境が由依ちゃんを人間不信に陥れ、友達を作らない、孤独な女にしてしまったんだ。

待てよ…僕たちが友達以上に踏み込めないのは、簡単に言えば僕の家柄と、由依ちゃんの人を信じ切れない性格。

でも由依ちゃんがそんな風になった遠因も結局のところ家柄ってことじゃないか。

同じ原因に辿り着いたと思った途端、友達関係を無理して続けていることが、馬鹿馬鹿しくなってきた。

『剛、頼むから俺達と同じ悲劇は繰り返さないでくれ。磁石のようにくっつきたいのに、剥がそうと必死になっているんじゃないのか?そんなところにエネルギーを注ぐなんて、無駄以外の何物でもない』

舟さんの言葉に、律子さんが続く。
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