孤独女と王子様
「僕は…由依さんが好きです。最近ではそれをずっと本人の前で言葉にしてきました」

僕は、舟さんと律子さんに向かってはっきり伝えようと思った。

由依ちゃんに僕を信じてもらいたいという気持ちが強くて、由依ちゃんの親の前で言うのはズルいと思ったけど、抑えられなかったんだ。

『俺は、剛が本当に小さい頃から知っている。ついでに言うなら、剛の母親のことも良く知っているんだ。だから、剛が素直で真面目な性格であることだって良く知っている』
「僕は、そんなんじゃないですよ。それだと、人として面白味がなさすぎます」

まるでそれじゃ、本当にただの"お坊っちゃま"だ。

「僕は、自分の意志で動くことの出来る人間です。決して親の言いなりになって自分の人生を左右されることはないし、家柄のためにゴールドホテルグループの次期社長にはなるつもりで今は修業していますが、あくまで僕は僕です」

僕はそう言って箸を置くと、由依ちゃんの向こう側にいる舟さんと、カウンターの内側で僕の話を真剣に聞いてくれている律子さんに対してさらに続ける。
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