孤独女と王子様
「お酒はお強いんですか？」
『それなりには、飲みます』

僕の勝手なイメージでは、
"あんまり飲まないです"とか"少しだけ"とか、とにかくお酒を勧めないでください、というアピールをするかと思ったのに。

『でも、この仕事は終わる時間が遅いので、休日にしか飲みませんけど』

神戸さんの場合はこんな表現なんだね。

「いいですよ。僕は神戸さんとお話しがしたくて、ここに来ていただいたのですから。僕からはお酒を勧めることはしません」
『すみません、つまらない女で』

神戸さんは軽く僕に頭を下げた。

「そんな、謝らないでください。でも、仕事の後でお酒を飲まないのでは、週に何度かしかたしなめないですね」
『正確には、次の日が仕事の時は飲まないようにしているんです』
「アルコールが残るから？」

僕の問いかけの後、マスターが梅酒のソーダ割を神戸さんの前に置いた。
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