孤独女と王子様
☆親友からの卒業~side YUI~
"俺は律子と過ごしたいから、邪魔しないでもらえる?"というかなり本気なお父さんの言葉で、私達は店を追い出された。

成瀬川局長のおかげで、捨てられたと思っていた自分の父の事実を知った。

私の中に戸惑いがないわけではない。
この再会が例えば中学生や高校生の年齢であるならば、受け入れられなかったかも知れない。

そして、剛さんという人に出会ってなければ、私は父と母の真実を聞いてもきっと疑いは晴れないし、恨み続けていたであろう。

剛さんには、人をもう一度信じてみようと思う心を教えてくれた。

あなたがいてくれたから、私はきっとこの先も頑張れる。

局長が用意してくれた駅前のビジネスホテルは、何故かそのホテルに2部屋しかないというツインのタイプだった。

剛さんと2人になることを予想してのことだろうか。

そう言えば、他のみんなはちゃんと帰れたのだろうか。

実家に行くと言っていた遥香はいいとして、桐生さん、花村さん、金澤さん、そして局長。

『おっ、ケン兄さんも気が利くね。僕が泊まることを予想していたみたいに』

ホテルのフロントで剛さんが私にそう言って微笑んだ。
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