孤独女と王子様
その思いは、剛さんも同じだった。

『もう、無理』

そのひと言で互いの体が離れると、私を抱きあげて奥のベッド2つのうちの片方に落とされた。

「キャ」

私はその衝撃に小さく叫んでしまった。

『ご、ごめん』

剛さんはそう謝りながらも、横たえている私の体の上に覆い被さってきた。

『もう、我慢しなくていいよね。いや、本当はもう少し我慢しようかと思っていたんだけど、僕は辛抱できないダメな男みたいだから、許して、由依』

そう言って私に微笑むと、私の頭の上に右手を置いて、深いキスを落としてきた。

唇は離さないまま、私のブラウスのボタンを外し始めた剛さん。
このまま・・・え?

「ちょ、ちょっと待って」
『ん?』

私は別に剛さんを拒むつもりはない。
けど、せめて・・・

「シャワー、浴びさせてよ」
『ダメ』

即答だった。
剛さんは私のそんな提案に聞く耳を持たず、首筋にキスを落とす。
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