孤独女と王子様
「だって、朝からみんなで動いて、遥香とテニスもしたし、お母さんのお店にもしばらくいたわけだから・・・」
『なら、次から・・・次に僕とこうなる時からにしてよ。事前にシャワー浴びるのは』
「何で?」

剛さんは反対の首筋に自分の顔を寄せ、匂いを嗅ぐような鼻で吸い込む音がした。

『由依の匂いが消えちゃうから。甘くていい匂いなのにシャワー浴びたらそれが消えちゃうよ』

そう言って剛さんは、私のブラウスのボタンを結局全部外してしまった。

「キャー!」

恥ずかしくなって私は両腕で胸のあたりを隠した。

『恥ずかしい?』
「う、うん」

そんな私に対して、剛さんが割と余裕な表情に見えてしまうのは、3つ違いの年齢と"経験"の差だと考えてしまった。

『あまり深く考えないで欲しいな』

剛さんはゆっくり私の両腕をほどくと、強く私を抱きしめた。
私の考えていることが、お見通しなのだろうか。
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