孤独女と王子様
『鍬形コンツェルンは銀行や百貨店を中心に事業展開しているんだけど、銀行の大株主であったオリオン物産の娘で、舟さんより5つ下だったかな。僕も何度か会ったことはあったけど・・・』
「あったけど?」
『自力で歩いている姿を、見たことが一度もなかったんだ』
「え?」
自力で歩けないって・・・どういうことだろう?
『どうも、奥さんはとても病弱だったらしくて、大株主に従って結婚はしたものの、それは娘である奥さんの"人生で一度でいいから結婚したい"という願いを叶えるものでしかなかったらしい』
剛さんが会ったのは、全て自室のベッドの上。
鍬形コンツェルンの跡取りはお父さんだけなので、世継ぎが必要になる。
でも奥さんがそんな体では、世継ぎなど期待できるわけがない。
『だから、不思議なんだよなぁ』
「何が?」
『由依ちゃん、知ってるかな?舟さんに啓慈(ケイジ)という、今度小学生になる長男がいることを』
「ううん。初めて聞いた」
「あったけど?」
『自力で歩いている姿を、見たことが一度もなかったんだ』
「え?」
自力で歩けないって・・・どういうことだろう?
『どうも、奥さんはとても病弱だったらしくて、大株主に従って結婚はしたものの、それは娘である奥さんの"人生で一度でいいから結婚したい"という願いを叶えるものでしかなかったらしい』
剛さんが会ったのは、全て自室のベッドの上。
鍬形コンツェルンの跡取りはお父さんだけなので、世継ぎが必要になる。
でも奥さんがそんな体では、世継ぎなど期待できるわけがない。
『だから、不思議なんだよなぁ』
「何が?」
『由依ちゃん、知ってるかな?舟さんに啓慈(ケイジ)という、今度小学生になる長男がいることを』
「ううん。初めて聞いた」