孤独女と王子様
『そんなに激しくしないでよぉ』

涙目で僕に訴える。
僕は声を出して欲しくて体をぶつけ続けた。

最後だけ由依ちゃんは大きな声を上げて昇り詰めた。

僕もほぼ同時だった。

「由依、愛してるっ」

由依ちゃんはそれに対してコクコク頷いた。

今、精を放った。
間違いなく。

でも、僕の中の感覚では、まだまだ、まだ、抱き足りない。

この間の水曜日は由依ちゃんがツキノモノの関係で甘えん坊タイムだけだったからそれが理由かもしれない。

あと、さっきの同僚の結婚式の話も、僕の嫉妬心に火を点けていた。

「由依、もっとシたい」

僕の言葉に由依ちゃんは微笑んだ。

『まだ、私で満たされてないんだね』

由依ちゃんは恐らく、僕の由依ちゃんに対する呼び方で分かったのだろう。
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