孤独女と王子様
「由依ちゃん、僕を誰だと思ってる?」
『成瀬川家の御曹司』
「ブー。当たりだけど、僕はそれ以前に由依ちゃんを純粋に溺愛する彼氏だから。お金なんて、貰う気なし」
そう言うと由依ちゃんは俯いた。
『だってこの服、高そうじゃん』
由依ちゃんらしいけど、遠慮はしてほしくないな。
「由依ちゃんがそう思うのも無理はないけど、実は僕も払ってない」
ワンピースを引き取りに行った今日。
支払いについてパタンナーのオバさんに確認した。
ところが、
『里絵子さんが払うから剛くんからは貰わないよ』
と言われてしまったんだ。
オバさん…いや、パタンナーのタエコさんは、僕が彼女のためにオーダーをしていることを母さんに話した。
それをとても喜んだ母さんは今回の代金の支払いを申し出てきたらしい。
「困ったのがさ、母さんは僕より由依ちゃんの方に興味津々で」
『私?会ったこともないのに?』
「携帯の待ち受け画面だけ見せたら、うるさいんだよ。"会いたい会いたい"って。あの人はなかなか時間取れないくせに、叶うまで願望を言い続ける人だから」
『成瀬川家の御曹司』
「ブー。当たりだけど、僕はそれ以前に由依ちゃんを純粋に溺愛する彼氏だから。お金なんて、貰う気なし」
そう言うと由依ちゃんは俯いた。
『だってこの服、高そうじゃん』
由依ちゃんらしいけど、遠慮はしてほしくないな。
「由依ちゃんがそう思うのも無理はないけど、実は僕も払ってない」
ワンピースを引き取りに行った今日。
支払いについてパタンナーのオバさんに確認した。
ところが、
『里絵子さんが払うから剛くんからは貰わないよ』
と言われてしまったんだ。
オバさん…いや、パタンナーのタエコさんは、僕が彼女のためにオーダーをしていることを母さんに話した。
それをとても喜んだ母さんは今回の代金の支払いを申し出てきたらしい。
「困ったのがさ、母さんは僕より由依ちゃんの方に興味津々で」
『私?会ったこともないのに?』
「携帯の待ち受け画面だけ見せたら、うるさいんだよ。"会いたい会いたい"って。あの人はなかなか時間取れないくせに、叶うまで願望を言い続ける人だから」