孤独女と王子様
『どうしたの?』

トモちゃんが私の携帯の画面をのぞき見しようとするので背を向けた。

「今日、終わったらこのホテルで待ってろだって」
『なるほど、2次会に神戸は行かないね』
『私達でも神戸さんをお借りできないってことか』
「ごめん」

すると"でもいいんじゃない?"と、ノゾミちゃんが言う。

『神戸さん、凄く表情が柔らかくなったよ。今日はメイクや服のせいもあるかも知れないけどさ、そんな彼氏の扱いがいい意味で仕事に影響しているんだろうね。この間のうちの店のイベントでも、神戸さんは出版社にもお客さんにも評判チョー良かったし』
「ありがとう。そう言ってもらえて嬉しいよ」
『ほらほら、それ、その顔だよ。気をつけないと男にお持ち帰りされるから、2次会への参加を禁止したんだろうね、彼氏は』

剛さんは私に2次会への参加を辞退するように言われた。
理由は、同期たちが察している通り。
剛さんのお願いは、断れない。

それに・・・きっと今日の剛さんはカッコ良くて、すぐに2人きりになりたいという衝動が抑えられない自分が予想できたから。
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